ストーマ外来とは何をするところですか?
ストーマ外来とは、退院後のオストメイトの皆さんのストーマのある生活を、チームで応援する外来です。ストーマ外来では、専門知識を持った皮膚・排泄ケア認定看護師が中心になっているケースが多いですね。なお、当院の場合は退院後だけでなくストーマを造設する前の段階の方も含めて、手術やストーマに関する疑問や不安をお聴きし、それを解消して前向きな気持ちになれるようなお手伝いをしています。
ストーマ外来では、ストーマという限られた身体の部分だけをみるのではありません。ストーマのある生活全般に関するさまざまな困りごとやお悩みについてもお伺いしています。手術前や退院したばかりの人から、状態が安定して慣れてきた方まで、すべてのオストメイトの皆さんが対象です。
ストーマ外来ではどのような相談ができますか?
退院してはじめのうちは、基本的なストーマのケアについてのご相談が多いですね。具体的には「漏れてしまう」とか「皮膚がかぶれてしまう」、「ガスが多くて困っている」といったお悩みをよく聞きます。手術後3ヵ月、半年と時間がたっていくと、「旅行に行くときに何を注意したら良いか」や「冠婚葬祭で着物を着ることができるか」、「外出先で漏れて困った」、「孫と一緒に入浴したいけれど、驚かれないだろうか」など、日常生活や社会生活のなかで生じる困りごとや不安に関するご相談が増えてくるように思います。
たとえば、女性のオストメイトの方からは「子どもがほしいのだけれど、大丈夫だろうか」、「出産を控えていて心配…」といった相談もありますね。妊娠してお腹が大きくなっていくとストーマの形や周囲の状況も変わってきますので、必要に応じて装具の種類や貼り方を変更したり、出産の直前まで支援したケースもあります。
ストーマケア自体にお困りごとがない方の場合、その方が生活する上でのお悩みや困りごとのご相談にのっています。たとえばお腹の具合や排便のコントロール、ご自分の気持ちの問題、家族や恋人、友人とのことなど、ストーマのある暮らしで気になることがあれば、どんなことでも気軽に相談してもらえるとうれしいですね。
ストーマがあってもこれまでと大きく変わらない生活ができますが、一人ひとりが違う環境で生活していますので、それぞれ異なる悩みや不安を感じることがあるでしょう。ストーマについてはご家族にも話せないこともあるでしょうし、そんなときはぜひストーマ外来を頼ってください。悩みごとや困りごとを人に話すだけでも気持ちが楽になることもあると思いますので、何か気になることがあれば気兼ねなく相談してください。
相談先がわからない、ストーマ外来がないときなどはどうすれば良いですか?
基本的には、ご自分が手術を受けた病院にストーマ外来があれば、そちらで相談をすると良いでしょう。病院によっては、ストーマ外来ではなくスキンケア外来など別の呼び方をしているケースもあります。病院に患者さん向けの相談コーナーがあれば、そこに相談してみても良いかもしれませんね。もちろんストーマ外来がないという病院もありますが、院内に皮膚・排泄ケア認定看護師がいたり、認定看護師でなくてもストーマのケアに長けたベテランの看護師がいて、相談に乗ってくれるケースもあります。ですから、まずはご自分が手術をした病院の医師や看護師に尋ねてみるのが良いと思います。
ストーマをつくってからある程度の年月が過ぎ、定期的に診察を受けていない場合や、引越しなどで自分が手術をした病院に相談できないようなときには、一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会のホームページの「ストーマ外来検索」のページを活用してみてください。「ストーマ外来検索」では、全国のストーマ外来のある病院の住所や連絡先を調べることができます。ほとんどの病院で事前予約が必要なので、診察を受けたい場合はまず病院に電話をかけてみてくださいね。
一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会「ストーマ外来検索」ページはこちら。
ストーマ外来のある病院の住所や連絡先を検索
https://jwocm.org/public/stomas/
ストーマ造設後、年月が経過し状態が安定している場合でも定期的に受診した方が良いですか?
ストーマ外来で診察を受ける頻度には個人差があり、はっきりとした目安はありません。手術後3カ月から半年くらいは定期的に外来で受診することが多いですが、1年、2年と過ぎて生活に慣れてくると、念のために半年や1年に1回受診するという人もいれば、他の外来に来たついでにストーマ外来も受診するという方もいらっしゃいます。
このように、外来に来る頻度は人それぞれですが、大切なことはオストメイトの皆さんがストーマのある生活のなかで、「何か困ったことがあれば、ここに相談に行けば良い」という場所を持っておくことであり、そのひとつがストーマ外来なのだと私は考えています。
最後に読者の皆さんへメッセージをお願いします
オストメイトの皆さんとストーマ外来との関係は、ストーマをつくる手術が必要だとわかった段階、つまり手術の前から始まります。ですから私は、手術の前から患者さんと関わることがとても大切だと思っています。
手術前や入院中に落ち込んでいた方や、ストーマのある暮らしのなかで悩みを抱えていた方が、外来に来て明るく元気になるのを見ると、私たち看護師も安心します。それどころか、私たちのほうが元気をいただくこともたくさんあるのです。オストメイトの皆さんから教えてもらうことも多く、一緒に考えて問題を解決できたときは本当にうれしいですね。
私たちは一人ひとりのお気持ちに寄り添って、オストメイトの皆さんの生活の質の向上のお手伝いをしたいと思っています。何かあれば気軽に、いつでもストーマ外来に相談に来ていただければと思います。
(発行:2023年9月)