Fit Cure フィットキュア

フィットキュアが導く外固定の次のステージへ

開発者インタビュー

フィットキュアが導く
外固定の次のステージへ

  • フィットキュアの開発に至る背景

    アルケアの研究開発は現場に赴き、医療者が当たり前に行っている習慣や行為を俯瞰的に捉え、インサイトニーズとして具現化することを目指しています。このような背景の中でフィットキュアシリーズは、とある医療現場での観察から生まれました。
     椎体骨折で来院した患者様は「痛い」と愁訴していますが、義肢装具士様の装具が出来るまでの間は「安静」を余儀なくされていました。そこで疑問が生じ他の病院でもヒアリングを行いましたが、ほとんどは同様であり、「患者様は痛くて来院されているが、現状義肢装具士様作成の装具の他、外固定では体幹ギプス以外ない」という現状を目の当たりにしました。
    体幹ギプスは椎体骨折の外固定の1つですが、呼吸時や食事時のように腹部が膨らむことで苦しくなることなど、患者様の負担が大きいため医療機関では様々な工夫を行っています。そこで、椎体骨折に求められる固定力を算出し、それを最低限の固定で実現する方法を考案しました。支持材として当社のキャスト技術を融合させることで、オーダーメイドのようにその日に外固定を開始できる、必要最低限の固定が出来ることで、可能な限り早期に日常生活へ戻られるよう促すことが可能となる、「フィットキュア」が誕生しました。即時個対応固定により義肢装具士様の装具が出来るまでの間の期間を埋めることができ、痛くて病院に来ている患者様にすぐ外固定を開始することが可能となりました。

    フィットキュアスパインは医師の手技の範囲でその日のうちに固定を始められます
  • 苦労したエピソード

    「即時個対応固定」による患部の固定・負担低減と、「固定と動作の融合」により、患者様がより早く日常生活に戻ることを狙ったフィットキュアシリーズは、これらを実現するためのステーカバーの設計と異形キャストステーが重要になります。
    特に異形キャストステーは基材にガラス繊維を使っているため、硬化後端部にガラスの棘が発生しやすくなります。複雑な異形になるほど出やすくなるため、端部処理に苦心しました。硬化前は柔らかい状態のため、処理することは出来ないため、硬化後を想定した対応が必要ですが、端部を不織布で覆うと製品に厚みが出てしまい、さらに段差も生じるため、厚さを一定に保ちつつ棘が外に出ない工夫を試行錯誤しました。最終的には特許を取得した特殊な製法により不織布で覆うことで、安心して使用できる設計が成されています。
    この方法を基本として、現在では部位毎に進化を遂げ、「自社技術だからこそできるより求められる形状への適合化」を実現しています。

    フィットキュアの異形のステーカバーです
  • フィットキュアの展望

    自社の研究開発・生産技術として装具・サポーターは56年、キャスト&スプリントは69年、研鑽を積み、継承してきたからこそ辿り着いたフィットキュアシリーズは、様々な反響を産みました。今まで「固定」しかなかったこの領域に新たな付加価値を創出出来たことで、「動かしながら固定する」ステージへ進化させていきたいと考えています。
    そのため、患者様の声を反映した既存フィットキュアシリーズのリニューアルや各種骨折への展開はもちろんのこと、患者様のためのものづくりを昇華させ続け、医工連携を強化し、研鑽を積んで行きたいと考えています。

    スピードギプスの製品イメージです
    国産初の石膏ギプス包帯「スピードギプス」
    フィットキュアリストの装着イメージです
    「フィットキュア・リスト」
  • 開発者としての思い

    患者様を今までいた生活に元の状態で少しでも早く戻すために必要なことは何か、患者様の立場に立って想いを巡らせ、我々で出来る最大限を考え抜き、開発を行っています。それを実現する為に、一度常識の枠を取り払い、理想の状態を追求することで、新しい価値を創出し続けています。
    「我々の力で保存療法を前進させる一助になりたい」という想いを胸に、患者様が笑顔になるような自他共にワクワクする魅力が感じられるものづくりをこれからも心掛けていきたいです。