ストーマ周囲はなぜスキントラブルが起こりやすいのですか?
ストーマ周囲のスキントラブルには、さまざまな原因があります。排泄物の付着による化学的要因、ストーマ装具を交換する際の刺激による物理的要因、汗によるかぶれといった生理的要因などがあげられます。
また、ストーマ造設後も外来での化学療法や放射線療法を継続される方は、治療の影響で皮膚がドライスキンになるため、スキントラブルが起こる可能性は高くなります。
スキントラブルは悪化するとびらんや潰瘍になることがあります。装具が貼りつきにくくなってしまうなど、日常生活にも影響が出てしまうことがあります。
正しいケアの方法を身につけ、トラブルが起こった場合は早めに対処できるようにすることが大切です。
排泄物の付着によるスキントラブルを防ぐにはどうすれば良いですか?
気をつけて見ていただきたい点は、便、尿の量や性状です。排泄物の量が多いときは、少ないときに比べて、ストーマ装具の面板についている皮膚保護剤が溶けやすくなります。
皮膚保護剤が溶けると、皮膚が露出して排泄物が付着しやすくなり、スキントラブルの原因となります。また、面板の外に漏れていなくても、面板の下に排泄物が潜り込んでいると、それがスキントラブルの原因になることもあります。
ストーマ袋に排泄物を溜めすぎると、皮膚保護剤が溶けて皮膚に排泄物がつきやすくなったり、潜り込みの原因になる場合があります。そのため、ストーマ袋に排泄物が3分の1くらい溜まったら、捨てるようにしましょう。
定期的にストーマ周囲の皮膚、はがした面板の裏面を観察※しましょう。
※ストーマ周囲の観察ポイントについては、こちらの記事で詳しくお伝えします。
ストーマ装具交換時の刺激によるスキントラブルを防ぐにはどうすれば良いですか?
ストーマ装具の交換では、面板をはがすときがポイントです。面板をはがすときに皮膚を引っ張ってしまうと、皮膚がダメージを受けてしまいます。面板の縁から少しずつ、ゆっくりはがしていきましょう。
ストーマ装具の面板をはがすときは、粘着力を弱めてはがしやすくする剥離剤(リムーバー)を使うことをおすすめします。 繰り返し行う装具交換だからこそ、丁寧なケアでスキントラブルを防いでいきたいですね。
自分でストーマ装具交換ができず、他の方に装具交換をお願いしている場合、遠慮して、面板をはがすときの痛みを伝えにくいかもしれません。しかし、繰り返される刺激によってスキントラブルにつながってしまうこともあるので、痛みなどがあるときは遠慮せずに伝えるようにしましょう。
スキントラブルに気づくために大切なことは何ですか?
おすすめしているのは、ストーマ周囲を鏡に映して見ること。鏡に映すことで客観的に変化に気づくことができます。
特に気をつけたいのが、「発赤(皮膚が赤くなること)」「浸軟(皮膚がふやけること)」「乾燥」の3つです。
発赤は痛みやかゆみなど、他の症状がなければ見過ごしてしまいがちですが、そのままにするとびらんや潰瘍になることがあります。
浸軟は排泄物や汗の水分によって起こります。そのため、イレオストミー(回腸ストーマ)やウロストミー(尿路ストーマ)の方によく見られます。皮膚がふやけることで傷ができやすくなるため、場合によっては感染を起こしやすくなります。
乾燥はかゆみの原因にもなるため、ストーマ周囲の皮膚も保湿ケアが大切です。保湿ができる洗浄剤を使用すると良いでしょう。
オストメイトの方は、スキントラブルが起こりやすいことを意識し、少しの変化でも自己判断で解決しないようにしましょう。スキントラブルが起きたときに、それまでと同じケアを続けていると悪化することがあります。ケアの方法を変えれば改善することがあるので、気になることがある場合、ストーマ外来などで相談すると良いでしょう。
ストーマ装具交換の手順 (1) 剥離
ストーマ装具交換の手順 (2) 洗浄・拭きとり
※イラストは消化管ストーマの場合です。尿路ストーマの場合は内側から外側に向かって洗います。
④拭きとるときはこすらずに、押さえ拭きをしましょう。
ストーマ装具交換の手順(3) 貼付
⑥面板を手で押さえながら十分に密着させます。
(発行:2022年9月)