トラブル時のケア
皮膚の状態や便の性状は、体調や精神的なストレスに大きく影響されます。多少の便漏れや皮膚トラブルが起きても弱気にならず、きちんとした対処をすれば解決するので、自信を持って日常生活を送りましょう。
そのためにも自分のストーマの状態や皮膚に合った装具を早めに選び、正しいケアの方法を身につけていきましょう。
皮膚トラブルを起こさないためには普段のストーマケアはもちろん、コロストミーの方は下痢や便秘を起こさない(便が水様だと皮膚についたときにびらんを起こしやすいため)など日常のちょっとした心掛けが大切です。
普段、気をつけてストーマケアを行っているのにトラブルが起こってしまった場合、慌てないでまずストーマ周囲の皮膚を観察してください。なぜトラブルが起こったのか原因を知ることが大切です。
以下のことをチェックして原因が思い当たる場合は、参考にしてください。
皮膚トラブルがなかなか治らなかったり痛みを伴う場合は、医師や看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)に早めに相談してください。
POINT
皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)とは
ストーマケアや失禁ケア、創傷ケアの専門の資格を持ち、この分野において詳しい知識や看護技術がある看護師です。
ストーマ外来について
専門外来(ストーマ外来)を行っている病院もあります。ストーマ外来はすべての病院にあるわけではありません。利用方法や受けられる条件も病院によって異なるので、医師または看護師に相談してください。
皮膚トラブルのケア
【トラブル】便が漏れてストーマ周囲がかぶれている
自分のストーマの大きさより面板の穴開けを2~3㎜程度大きくします。また、このような方にはコンベックス(凸型)タイプの面板がおすすめです。必要に応じて固定用ベルトなどを併用してください。
〈固定用ベルトについて〉
ストーマ装具を皮膚にピ夕ッと密着させ確実に固定するためには、固定用べルトが効果的です。
ただし、固定用べルトの圧迫が強すぎると皮膚が赤くなることがあるので、ベルトで締めすぎないようにしてください。
圧迫の度合いは指が縦に2本程度入るのが目安です。
まず、自分のストーマの大きさを測ってみましょう。商品の箱に入っているカッティングゲージ(透明のシート)をストーマに軽くあて、その上から細い油性マジックでストーマの大きさを写します。
あらかじめ穴が開いたゲージを使う場合は、自分のストーマよりやや大きめの穴から少しずつ小さい穴へと当てていき、 ストーマの大きさにぴったり合うサイズを選びます。
ストーマの形が楕円の場合は、計測の際にストーマの一番長いところを測りましょう。
面板の穴の大きさは、ストーマの大きさより通常1~2㎜程度大きめに開けてください。
皮膚保護剤によって交換日数は異なるので、自分が使用している装具に合わせて正しく交換してください。
交換日数の目安が3~5日の皮膚保護剤を使用した際、3日もたずに漏れるようなことがあれば、ストーマ周囲にシワやくぼみがあるケースなども考えられますので、「腰を掛けた状態または立った姿勢で、ストーマ周囲にシワやくぼみがありませんか?」をご確認ください。
皮膚に便がついているとかぶれの原因になります。装具交換時は石鹸や清浄剤で皮膚をよく洗いましょう。
ただし、皮膚が赤くただれているときや、痛みがあるときには石鹸などの使用を控えてお湯だけで洗ってください。
【トラブル】面板を貼っている部分が、かゆみや痛みを伴って赤くなる
保護テープなどを貼った部分がかぶれている場合は、テープの使用を控えてください。テープを貼っていないからといって、装具が簡単に外れてしまうことは基本的にありません。皮膚保護剤は1時間もたてば皮膚に密着するので、その間だけ自分の皮膚に合うテープを使用し、その後はテープを剥がしても構いません。
入浴の際は、テープがついていないと皮膚保護剤の外縁から水分を吸収して溶けてしまうので、入浴時は防水テープで周りを固定し、入浴後はテープを剥がしましょう。
皮膚保護剤の部分がかぶれている場合は、自分の皮膚に合ったものを探しましょう。よくわからない場合は、医師や看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)に相談してください。
装具の交換日数は皮膚保護剤によって異なります。
自分の使用している装具の交換目安を参考に、適切に交換することが大切です。
【トラブル】装具交換時に面板がなかなか剥がれない
通常、 皮膚保護剤の交換日数は決まっていますが、高齢の方で汗の量が少ない場合、面板がなかなか剥がれないことがあります。
ストーマの周囲はすぐ剥がれても、外側が剥がれにくいこともあります。このようなときは無理に剥がすと皮膚を傷め、赤くなってしまうことがあるので、はくり剤を用いるなどしてやさしく剥がしましょう。
【トラブル】ストーマ周囲の皮膚に赤い湿疹がある
早めに医師に相談しましょう。
日常のケアではストーマ周囲をよく洗ってください。
夏は入浴後10分程度何もつけないで皮膚を空気にさらしましょう。 汗をたくさんかいたときは装具を1日早めに交換してください。
ストーマ周囲が毛深い方は、面板を貼る部分の毛を電気剃刀で定期的にそってください。剃刀などを使用するとストーマを傷つけるおそれがあるので、電気剃刀をストーマ専用にして使用するのがおすすめです。
早めに医師に相談しましょう。
ストーマそのもののトラブル時のケア
【トラブル】ストーマから出血する
装具交換時などの外傷でティッシュに少しつく程度なら心配はいりませんが、出血が止まらなかったり、ストーマ袋に溜まってきたりするような場合は医師に相談してください。
面板の穴開けが小さかったため切り口が当たり刺激になった場合や、ベルトや衣類などでこすれた場合はストーマが傷つき出血するので、穴開けの大きさやべルトの位置などをもう一度確認してください。
【トラブル】ストーマが骨の近くにあり、面板が剥がれてくる
ストーマが骨の近くにある方、痩せている方は面板が浮き、剥がれやすくなることがあります。
このような場合には、面板がやわらかい単品系(ワンピース)装具のほうが密着しやすく体にぴったり合うでしょう。
【トラブル】ストーマが出たり入ったりする
ストーマが十数センチも飛び出してくる場合は、医師に相談してください。
飛び出しが少ない場合は、ストーマが傷つかないように面板の穴開けを少し大きめにしてください。
【トラブル】横になっているとストーマ周囲は平らだが、起きると盛り上がる
ヘルニアが考えられますので、医師に相談してください。
この場合、少し強めの腹帯で抑えるのも有効ですが、ストーマが圧迫されないように腹帯に穴を開けて使用してください。
【トラブル】太ってストーマがへこんだ
【トラブル】においやガスが気になる