水や食料は1週間分を目安に
水や食料品の備蓄は、1週間分を目安にしましょう。1日に必要な水の量は、飲料用と調理用だけで大人1人あたり3リットルと言われていますが、慢性疾患を抱えている人や特別なケアが必要な人などは、少し多めに用意しておくと安心です。
災害時はビタミン・ミネラル・食物繊維などが不足しがちです。便秘予防のためにも、野菜ジュース、野菜チップス、干し芋などの保存食を用意しておくと良いです。おでん缶なども塩分や食物繊維がとれるのでおすすめです。最近は非常食も多種多様になりましたので、好みや病状などに合うものを探して備蓄しておきましょう。
日用品で備えておくと便利なもの
冬は使い捨てカイロやアルミシート、夏は強く叩くだけで冷たくなる瞬間冷却パック、冷却ジェルシートなどがあると便利です。衣類はかさばってしまいますが、Tシャツや羽織れるものなども1枚は入れておきましょう。
水害の後は乾いた汚泥が粉塵となって舞うので、サージカルマスクとアイシールドがあると便利です。目薬や洗眼薬も持っていると安心です。
女性は生理用品のほか、おりものシートがあると下着が交換できなかった際にも、快適に過ごせます。ブラジャーなど下着は手に入りにくく、自分に合うサイズがあるかわからないので、1セットは入れておくと良いでしょう。災害時には化粧品やスキンケア用品は贅沢品と捉えられる傾向もありますが、普段使っているものは持っていると良いですね。
入浴や歯磨きができないときは、体を拭くシートや歯磨きシート、洗口液なども役立ちます。
避難所ではゴミを捨てる場所がなくて困ることもあるため、色付きのゴミ袋なども準備しておきましょう。
避難所生活での注意点
感染症対策のためにも土足厳禁を徹底し、避難所も自宅と同じように靴下で出入りするのがルールです。水が使えればこまめに手洗いを、手洗いができない場合は、アルコールタオルや手指消毒剤を用意しておいて食事の前後、ドアノブなど共有部分を触った後などに手指衛生を行いましょう。また人と人との距離を保ち、サージカルマスクを着用して過ごすことが望ましいです。
寝るときは床に横たわると埃などを吸い込んでしまうことがあります。段ボールベッドの利用は感染症対策に有効で、エコノミークラス症候群対策にも効果的です。
集団生活の中では防犯対策も必要になるため、防犯ブザーなどを持っておくのも良いですね。防犯のほか二次災害が起きたときにも対応しやすいよう、トイレにも必ず2人で行くなど単独行動は避けましょう。
災害時の健康管理について
避難所での飲食はまわりに気を遣うこともありますが、我慢せずに水分や食事をとってください。また、しっかりと水分をとることは、便秘やエコノミークラス症候群を防ぐためにも大切です。水分摂取に加えて、運動をして血液循環を良くすることを心がけましょう。足先を回したり、ふくらはぎを軽くもんだりするだけでも予防効果があります。医療チームが避難所を巡回して、エコー検査を行うこともありますので、そのようなチャンスがあれば、積極的に受けた方が良いですね。
歯磨きをしないことで誤嚥性肺炎が起こることもあるため、わずかな水でもうがいをするようにしましょう。唾液腺マッサージや舌の運動は唾液の分泌を促すので、口腔内の抗菌に役立ちます。
被災後は心も体も緊張状態で、筋肉も硬くなっています。ゆっくり深呼吸をすると副交感神経の働きが優位になり、自律神経のバランスが整います。意識的に体にぐっと力を入れてから、一気に力を抜く筋弛緩法も手軽にできるリラックス法です。
また、家族やペットの写真を眺めたり、飴をなめたり、アロマオイルをハンカチに垂らして香りを楽しんだりと、防災用品の中に何か自分のご褒美になるものを入れておくと、安心することができます。
さいごに
災害時だから仕方ないと諦めず、ないものをどうやって手に入れるか・どうやって作ろうかという発想が大事です。また、避難所では、避難所の運営者に頼り切るのではなく、一人ひとりが役割を担って、みんなで生活の質を上げていくことも必要です。
オストメイトには当事者にしかわからない大変さがあります。まわりの人たちが気づくことは難しいので、自分から声に出して伝えてほしいですね。
(発行:2021年6月)