オストメイトの会を知ろう！ 日本オストミー協会（JOA）

JOAとはどのような組織ですか？

日本オストミー協会（以下、JOA）は、オストメイトの皆さんが安心して暮らせる社会を目指して活動している、オストメイトによるオストメイトのための障害者団体です。現在、会員数は約6000名で、山梨県と香川県を除く全国の都道府県に52の支部があります。

JOAは、1969年に設立されたオストメイトの患者団体「互療会」が起点となっています。そこから、オストメイトの実態についての啓発をはじめ、オストメイトの障害認定や身体障害者手帳の交付など、オストメイトのための福祉政策推進のために国や行政への働きかけを行ってきました。1989年には厚生省（現厚生労働省）より社団法人の認可を受け「日本オストミー協会」に改称し、現在もオストメイトのQOL（生活の質）を多面的にサポートするとともに、社会的認知の拡大促進などにも取り組んでいます。

ご自身がJOAに入会したきっかけは？

私は今から20年前、51歳のときに直腸がんで手術を受け、ストーマを造設しました。しかし、当時はJOAのような団体があることを知らず、病院にも皮膚・排泄ケア認定看護師さんのような専門的な知識を持つ方がいなかったため、装具の販売店の方から情報をいただきながら自分なりに生活を送っていました。

あるとき、JOA千葉県支部が行政に要望し災害時用にストーマ装具が保管されることになったという新聞記事を読んだことで、1人では届かない声も大勢ならパワーになると感じ、2008年にJOAに入会しました。オストメイトになってからJOAに入会するまでの5年間は、自分なりの工夫で通勤時の漏れ対策や出張や旅行時の対応をしていたので、今考えると結構大変でしたね。

JOAの活動について教えてください。

JOAでは、支部単位での活動が活発です。たとえば、私が兼務している千葉県支部では、ストーマに関する講習会や講演会、当事者同士で悩みや工夫を共有し合える交流会などを実施しています。最近では、看護師の方を講師にお招きしてケアや装具に関する講演会や講習会を行ったり、装具にシールやステッカーを貼ってデコレーションを施す「デコパウチ」を作って楽しもうという会をやったりもしました。
ちょっとした集まりでは20〜30人、県単位の大きな催しでは50〜60人ほどの会員が集まります。また、JOAでは本部と支部でそれぞれ会報を発行しています。最近の千葉県支部の会報では「パーキング・パーミット制度（公共施設や商業施設の障害者用等駐車スペースの利用証を都道府県や自治体が交付する制度）」について紹介するなど、オストメイトの皆さんに役立つ情報提供を心がけています。

講習会の様子

交流会の様子

現在JOAで特に力を入れているのは、装具メーカーや行政と協同した災害時の支援、高齢化に対応するためのストーマに関する介護職向けの研修会の実施、オストメイト対応トイレの普及啓発の3つです。また、国や地方自治体に対しては、装具などに関する給付金増額のお願いにも注力しているところです。

現在、オストメイトとして身体障害者手帳を交付されている方は全国に約22万人いるといわれるのに対し、JOA会員は約6000人ということで、オストメイト全体の約3％に過ぎません。今後は、会員をどう増やしていくのかが、団体の課題となっています。

皆さんにメッセージをお願いします。

私自身を含めて、オストメイトの皆さんをとり囲む社会の状況や障害者福祉は、以前に比べるとかなり進んできているように思います。しかし、オストメイトのQOLを考えれば、そこにゴールというものはありません。ですから、私たちは皆さんと手を携えながら、オストメイトの生活環境を少しでも良くしていきたいと考えています。

そのような社会や環境を実現するためには、個人の力だけでは難しいのが現実です。だからこそ仲間が集まって力を発揮し、国や行政に働きかけることが重要だと思います。こうした活動を通じて、オストメイトの生活をより良くしていくことが私たち団体の存在意義ですので、皆さんもぜひ、JOAに参加していただければうれしいですね。

（発行：2023年9月）