ストーマなんでも相談室

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におい対策と不安をなくすためのポイント

オストメイトの皆さんが訴えるにおいの不安にはどのようなものがありますか?

「電車で立っているとき、前に座っている人が嫌な顔をした気がしたのだけれど、におっていたのでしょうか?」という相談を受けたことがあります。布団の中でにおっていないか気になる方や、同居している家族から「何となくにおう気がすると言われた」というご相談もありました。

このように、自分以外の人と同じ空間にいるときに、におっていないか気にする方が多いように思います。

ストーマ外来で患者さんたちのお話を伺っていると、ご自分で清潔にケアできていて実際にはにおっていないのに、「私、におうでしょう?」と訴える方もいました。これはにおいの不安に加えて、ストーマそのものに対する不安が、「自分はにおうかも」という不安として表れているようにも思います。

においを感じたときに気をつけることを教えてください。

まず、ストーマ装具には防臭性がありますので、漏れがなく正しく使用していれば心配はありません。ただし、漏れがあると当然においがしてしまうので、漏れが起きたときは速やかに交換することをおすすめします。

日常生活のなかでにおいを感じるのは、排泄物の排出時や装具交換時です。そのときに便や尿が装具の外側や衣服などについてしまうと、においのもとになりやすいので注意してください。

排泄物の排出を高い位置から行うと、排泄物が跳ね返って装具の外側や衣服に付着しやすくなります。そのため、立って排出するよりも便座に座って排出するほうが跳ね返りが少なく、においの予防につながります。便器の中にトイレットペーパーを敷いて排出するのも跳ね返り防止策として良いですね。自宅であれば便器に向かって膝立ちしたり、便器の前に椅子を置いて座ったりして排出する方法もあります。最近は装具からの排出がしやすい、オストメイト向けの前広タイプの便座も販売されています。

消化管ストーマの方で、排出するときのにおいが気になる方は、排出を簡単にするための潤滑剤に消臭機能がついたものを選ぶと良いでしょう。

排泄物を排出した後にストーマ袋の排出口の先端を拭き取ることも、においの予防につながります。

ストーマ装具の排出口から潤滑消臭剤を入れている様子

〈潤滑消臭剤の使用で排出をスムーズに〉

排出口を拭いている様子

〈排出口の汚れをしっかり拭き取る〉

拭き取りした後の排出口の状態

〈排出口の拭き取りでにおいの予防に〉

※写真はイメージです。

それでも気になるという場合には、体調が悪くて一時的に便や尿のにおいが強くなっていないか、装具の設定された交換目安よりも長く使っていないかなどを確認しましょう。ストーマケア用品のなかには、消臭効果のあるストーマ袋カバーや肌着などもありますので、これらを使っても良いでしょう。

シャワーや入浴も、におい対策になります。可能であれば毎日、特に夏は装具交換はしなくても、汗をかいたらシャワーを浴びたほうが良いでしょう。

外出の途中で、排泄物を排出しなければならないこともあります。もちろん普通のトイレでも排出できますが、狭いトイレだとうまく排出できるか不安な方は、行先周辺にあるバリアフリートイレの場所を調べておくと安心です。スペースが広くオストメイト向け設備を備える場合もあるバリアフリートイレは、一般的な公衆トイレよりも排泄物の排出や装具交換が行いやすいので、これもにおいの不安解消につながるのではないでしょうか。バリアフリートイレや前広便座が今以上に世の中に普及していくと良いですね。

においの不安をなくすためのポイントはありますか?

においが気になると感じた場合、もしかしたら装具をきちんと装着できていないのかもしれません。そのような場合は、早めにストーマ外来を受診してください。

見落としがちですが、体重が増えてお腹が出てきたり、ヘルニアになったりすると、ストーマそのものが大きくなって、装具がしっかりと密着しにくくなることもあります。太ったり、痩せたり、体型が変わればストーマのサイズも変わりますし、加齢によって皮膚にしわやくぼみができることもあります。

ストーマ袋に排泄物が多く溜まっていると、「においがしているかも…」という不安が高まることがあります。早めに排泄物を捨てることも、においの不安軽減につながります。また、ストーマ装具の交換日が近づくと、においが気になるという方もいらっしゃいます。場合によっては、実際に少し漏れ気味になっていることもあるので、剥がした面板の裏側を確認し、排泄物のもぐりこみがないかを確認する習慣をつけると良いでしょう。排泄物のもぐりこみがあった場合には、1日早めに交換することをおすすめします。

ストーマについて大きなトラブルがなくても、半年や1年に1回ストーマ外来を受診して、自分のストーマや皮膚の状態を確認してもらうと良いでしょう。

においが気になったら…思い当たることはありませんか?

  • □ 装具は体に合っていますか?
  • □ 装具から漏れはありませんか?
  • □ 装具の排出口はしっかり閉じられていますか?
  • □ 排出口先端に、排泄物の拭き残しはありませんか?
  • □ 排泄物を排出する際、排泄物が服や装具に付着していませんか?
  • □ においが強くなるような食べ物を食べ過ぎていませんか?

最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします!

ストーマ外来でさまざまなオストメイトの皆さんから相談を受けていると、実際にはまったくにおっていないのに、「におっているかもしれない」と不安を訴える方も少なくありません。

食べて排泄することは、私たちが生きている証です。そして、私も含め人間は誰でも、排泄をしたり、たくさん汗をかいたりするとにおいがします。しかし、排泄をしたらきちんと処理し、汗をかいたらシャワーやお風呂に入れば良いのです。

自分のにおいも他の人のにおいも、生きている証として考えてみることも大事ではないでしょうか。

(発行:2024年9月)

執筆者のコネクトケアラボ 皮膚・排泄ケア認定看護師 根本秀美先生の顔写真

コネクトケアラボ
皮膚・排泄ケア認定看護師

根本 秀美 先生

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