アルケア株式会社(以下「アルケア」)は近畿日本ツーリスト株式会社(以下「近畿日本ツーリスト」)と連携し、日帰り温泉ツアーを障害者差別解消法改正法の施行に合わせて実施しました。
安心して旅や温泉を楽しめるきっかけとして企画・催行
オストメイトは国内に約23万人いるといわれていますが、外見からはわかりづらく、社会的認知も進んでいないため、周囲の理解が十分に得られていないという課題があります。
適切にストーマ装具を装着していれば排泄物が漏れることはありませんが、オストメイトが温泉などの公共入浴施設で入浴拒否をされたという報道もありました。
日本オストミー協会が実施した第9回オストメイト生活実態基本調査※によると、オストメイトの公衆浴場や旅館・ホテルにおける大浴場の利用状況について、65%が利用しないと回答しています。
このような中、2024年4月1日に障害者差別解消法が改正施行され、事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化されました。
アルケアと近畿日本ツーリストはこの日に合わせて、オストメイトの方々が安心して旅や温泉を楽しめるきっかけづくりと、社会に対するオストメイトに関する理解促進を目的として、ツアーを企画・催行しました。当日は40代〜90代の12名のオストメイトとそのご家族など計16名の方が参加されました。
広々とした温泉を満喫しストーマ装具工場見学も
この日訪れたのは、広々とした温泉施設をもつ龍宮城スパ・ホテル三日月です。ツアー参加者には、ストーマ装具を覆う入浴用シール〈バスラック®シール〉が提供され、人目を気にせずゆったりと入浴を楽しんでいただくことができました。オストメイトになってから大浴場での入浴は初めてという40代の女性からは「今回は大浴場で参加者の皆さんとお話ししながら、体だけでなく心も温まりました」との感想もいただきました。
温泉を楽しんだ後は千葉市内にあるアルケアの工場に移動し、ストーマ装具の製造工程を見学しました。品質管理のパートでは耐水圧検査などの様子を見学し、装具の安全性を確認しました。装具の製造体験にも挑戦し、完成品にシールを貼ったりイラストを描いたりと、思い思いにデコレーションを楽しみました。また、「オストメイトのための災害対策」に関する講義も行われ、日ごろからできる備えについて学びました。
本ツアー後のアンケート※では、参加者の90%が「外出や旅行、温泉に出かける自信がついた」と回答し、外出や旅を楽しむ良い機会としていただけたようです。一方で、「オストメイトについて、社会的に広く認知・理解されていると思うか」という問いに対しては、80%近くが「認知されていない」と回答しました。参加者の70代男性は、「今は多様性の時代なので、私自身が積極的にスポーツをしたり、温泉に出かけたりすることで、周囲の人にオストメイトについて知ってもらえたら」と笑顔で語ってくださいました。
(発行:2024年9月)