ニュースリリース

2023年1月11日

指一本専用の外固定材〈ライトスプリント・フィンガー※1〉を新発売

国産初の石膏ギプス開発・製造から70年を迎えるアルケアが、手指骨折の処置に新たな選択肢を提案

医療・福祉・健康分野でベストケアを創造するアルケア株式会社(本社:東京都墨田区、代表取締役社長:伊藤克己、以下「アルケア」)は、指一本専用のギプス包帯〈ライトスプリント・フィンガー〉を開発し、2023111日に新発売します。

日本人の手の寸法データ※2を元にした設計と水硬性のガラス繊維素材の変更により、自社従来品から手指の形状へのフィット感と簡便性が高まり、手指骨折の支持・固定においてフレキシブルな処置を可能にする商品です。

※1 一般医療機器/ギプス包帯/医療機器届出番号:13B1X00207000071
※2 https://www.airc.aist.go.jp/dhrt/hand/data/list.html

ライトスプリント・フィンガー商品画像.png

受傷した指一本の固定における医療現場の課題

アルケアでは、これまでもアルミ素材の副木※3アルフェンス®※4)や幅広い部位や症例に合わせて処置できるフリーカットの水硬化性のギプス包帯(ライトスプリント・FC)を開発・提供してきました。
アルフェンス®は、指の外傷の状態によっては、医療従事者が患者さんの手指に合わせ何度も微調整を行う必要があります。また、装着部位によっては患者さんが痛みを訴えて外してしまうなど、治療のための適切な固定を継続することが難しいこともありました。
水硬化性のギプス包帯は、カット後に水に浸してからモールディング(身体の形状に合うように沿わせていく)を行う医療従事者が加工しやすい素材・構造ですが、細い指一本分の固定に適した設計ではありませんでした。

※3 添え木、副子ともいい、骨折した部分や関節などを臨時的に固定する器材
4 一般医療機器/単回使用パッド入り副木/医療機器届出番号:13B1X00207000023

〈ライトスプリント・フィンガー〉 商品概要

ライトスプリント・フィンガー商品概要

指用外固定材に新たな選択肢提案で、医療従事者と患者さん双方のありたい治療の実現を

医療現場からの課題や患者さんのお声を受けて、指一本専用のギプス包帯〈ライトスプリント・フィンガー〉 を2023111日に新発売します。

特長

  1. 指一本分の芯材幅設計により、手指のカーブ形状へのフィット性を実現(画像 左上)
  2. 硬化前はやわらかく、治療に適切な位置を保ちながら手指形状に沿わせた固定が可能(画像 右上)
  3. 芯材を切断しやすく、断面の繊維のバラつきが抑えられるため、単層のガラス繊維を採用(画像 左下)
  4. アルミ素材の自社従来品(副木)と比較して同等の強度を維持(画像 右下)

    n=20、ライトスプリント・フィンガーは硬化後のサンプルを測定、測定環境:23℃、50RH、試験速度:100mm/min、支点間距離:50㎜統計手法:事後検定Welcht検定(p<0.05)社内技術資料より

ライトスプリント・フィンガー特長.png

国産初の石膏ギプス包帯の開発から70年、創業時から変わらない想いと製品開発への視点

アルケアが、1953年に国産初の石膏ギプス包帯「スピードギプス」の開発・製造に成功してから今年で70年目を迎えます。当時、ギプスは看護師の方々が布製の包帯に石膏をすり込み、時間をかけて一つひとつ手作りされていました。

窯業技術者であったアルケアの創業者は、脊椎カリエス※5の診察時に医師から石膏ギプスに関する苦労話を聴きました。それは、小児麻痺※6の子どもが重い石膏ギプスをつける苦痛や、看護師が包帯に石膏をすり込む作業は長時間を要するうえに固まりづらいなどの患者さんからの苦情が、当時の医療現場での課題となっているということでした。
そのような現場を目の当たりにし、また自身も脊椎カリエスの治療で石膏ギプスをつけていた経験から「この重労働から看護師さんを解放できないか。石膏を包帯にあらかじめ塗布しておけば、水に濡らすだけで容易にギプスがつくれるはず。すぐにギプスが提供できれば、骨折した患者さんにも貢献できる。」という想いと、医療従事者と患者さん双方の視点をもって、ノウハウが全くない状態から試作と検証を重ね、国産初の石膏ギプス包帯「スピードギプス」の開発に成功し、医療の現場で大いに評判を呼びました。

スピードギプス画像.png

それから70年経った現在も、創業当時の想いと視点はアルケアのものづくりの起点となっています。
近年は、バイオデザイン※7に基づいた医療現場のニーズを起点とした商品開発活動にも重点を置き、病院等施設での現場観察などにも積極的に取り組んでおります。
これからも創業時の志を胸に、医療従事者と患者さんの双方の視点を持ち、寄り添いながら、世の中に貢献できる製品開発を目指してまいります。

※5 結核菌が脊椎へ感染した病気
※6 ポリオ(Acute poliomyelitis、急性灰白髄炎)とは、ポリオウイルスの中枢神経感染により生ずる四肢の急性弛緩性麻痺(acute flaccid paralysis:AFP) を典型的な症状とする疾患であり、かつては小児に多発したところから小児麻痺ともよばれていた。
※7 2001年にスタンフォード大学のDr Paul Yock(ポール ヨック 博士)らが、デザイン思考をもとにした医療機器イノベーションを牽引する人材育成プログラムとして開始。開発の初期段階から事業化の視点も検証しながら、医療現場のニーズを出発点として問題の解決策を開発し、イノベーションを実現するアプローチを特徴とするプログラム。

アルケア株式会社 -つなぐ手あて、ひらくケア。-

アルケアは、やさしさや想いを大きな力に、ベストケア創造企業として、患者さんのこころに響く手あてをつなぎ、新たなケアをひらいていきます。予防から社会復帰にいたるまで、ケアをプロセス視点で捉え、整形外科領域、褥瘡・創傷領域、ストーマ領域、看護領域の4つの専門領域で事業を展開しています。
整形外科領域では、数々のギプス製品や、保存療法・リハビリテーションでの治療原理に基づいた支持・固定用品により、運動器の医療を支えてきました。また、高齢化が進む社会で健康寿命の要といわれる下肢筋力の見える化など、人間が本来持つ運動機能の維持・強化のための課題に向き合っています。
運動器疾患の治療とケアをつなぎ、医療従事者と患者さん双方のありたい姿の実現を目指していきます。

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