どのように外出に慣れていけばよいですか?
最初は慣れ親しんだ近所の公園への散歩や、コンビニまで買い物に行ったり、どこにトイレがあるのか探してみたり、短時間の外出から始めてみましょう。
近所に慣れたら少し足を延ばして、図書館や美術館、デパートなどに行ってみましょう。このような公共施設や商業施設の多くには、オストメイト用トイレもあります。仕事をしている方は、通勤のシミュレーションを。JRや地下鉄の駅にもオストメイト用トイレがあるので、確認してみてください。
1人では不安なら、ご家族の協力を得ることも大事です。散歩から始めて、少しずつ遠出ができるように付き添ってもらうと心強いです。
外出の際は、どのようなものを用意すればよいですか。
予備のストーマ装具一式をポーチなどに入れて持ち歩きましょう。ストーマ装具は、すぐ付けられるようにあらかじめカットしておきます。面板をはがしやすくする剥離剤や皮膚保護洗浄クリーム、ウェットティッシュなどは必須アイテム。粉状皮膚保護剤や皮膚保護リングは、ちょっとした皮膚トラブル時に役立ちます。めくった衣服を固定するための洗濯ばさみ(フクアゲール)もあると便利です。
濃い色のフェイスタオルを持っていれば、急に排泄物がもれてしまったときも当てることで応急処置ができます。はがした装具などの廃棄物は新聞紙に包んでから不透明なビニール袋に入れて捨てますが、汚物入れやごみ箱がないときはファスナー付きの保存袋に入れて持ち帰ると、においが漏れることもありません。
泊まりがけの旅行のとき、注意することはありますか?
近場なら交換用の装具は1枚でよいですが、泊まりがけの旅行なら宿泊数分くらい持参しましょう。使っている装具の会社名や製品名、受診している病院の連絡先などをメモしておくと緊急時も安心です。国内では比較的どこでも装具が買えますが、海外では手に入れにくく、薬局に置いてあっても型が違ったりします。預けた荷物がなくなることもあるので、装具は機内持ち込みの手荷物に1セット入れておきましょう。
飛行機に乗ると、気圧の変化でストーマ袋が膨らむことがあります。機内ではガス量も増えやすいため、心配な人はトイレに近い席を希望するとよいでしょう。
外出中はにおいも気になりますが、対策法はありますか?
ストーマ装具には防臭加工が施されていますので、便もれがなければ、また袋を開けなければ大丈夫です。ストーマ袋(パウチ)の上部には、ガス抜きフィルターが付いていて、ストーマ袋内にたまったガスが徐々に抜けるようになっています。フィルターには脱臭効果の高い活性炭繊維が使用され、においの粒子を吸着します。心配なときは、ストーマ袋に入れる消臭剤や、シートタイプの脱臭剤で袋を覆うと安心です。パウチカバーにも消臭機能が付いたものがあります。
香水などは、原因となるにおいを分解することはできないため、逆効果に。こまめに袋を交換、入浴や着替えをすることも対策です。
これから夏を迎えるにあたり服装で気をつけることはありますか?
夏に活躍する白系の服を着る場合は、パウチカバーの色に注目しましょう。肌色は意外と目立ってしまうので、グレーや薄いピンクなどがおすすめです。パウチカバーがなければ、ガーゼのハンカチなどで代用することもできます。
腹帯を使用すると、ストーマ袋が直接肌に触れず、汗も吸い取ってくれるので皮膚トラブルの予防にもなります。
汗の対策はありますか?
普段は3日で交換していたとすれば、2日にするなど、装具交換の日数は短めにするのも良いでしょう。装具をはがすときは、必ずリムーバーを使って肌への負担を少なくし、はがした後は石鹸できれいに洗います。そのとき、はがした面板全体が汗で白くふやけていないかなど、よく観察してください。
入浴後も汗をかくので、汗が引いてから装具を貼りましょう。汗をかいたままにすると、装具が貼り付きにくくなったり、スキントラブルの原因にもなります。
装具をはがしたときに面板全体がふやけたり、ぽつぽつと白っぽくなったら、1日早めに交換しましょう。
汗を放っておくと、汗によりかぶれて、毛のう炎になってしまうことも。夏場は少し早めに交換しましょう。
そのほか夏場について気をつけることはありますか?
夏場は特に脱水症状を起こさないよう、水分を多めにとることを意識してください。ウロストミーの方は、1日の尿量が1500ml以上になるようにしましょう。
なるべくミネラル成分の入った水を選ぶのがポイントです、スポーツドリンクは糖分も多いため、飲み過ぎには注意しましょう。
(発行:2020年6月)