入浴は身体を清潔にするだけでなく、血液の循環や新陳代謝を促したり、ストレスを解消し心身ともにリラックスするなどの効果があります。
「入浴がストーマに悪い影響を与えるのでは?」と心配される方もいるかもしれませんが、入浴することでストーマにトラブルが起こることはありませんのでご安心ください。
消化管ストーマの方は食後1時間以内は入浴を避けるようにし、排便の少ない時間帯を選んで入浴しましょう。
浴室で装具交換をする場合は、脱衣所に交換用の装具を準備しておきましょう。交換用の装具は濡れたり湿ったりしないように注意しましょう。
Q ストーマから体の中にお湯が入るのでは?
A 体の内圧はお風呂の水圧よりも高いので、装具をつけずに湯船につかっても、ストーマから体内にお湯が入ることはありません。
ただし、消化管ストーマの方は、ストーマには排便をおさえる括約筋がありませんので、湯船につかっているときに腸が働き、ガスとともに便が出ることもあります。そのため、湯船につかるときは装具をつけていたほうが安心でしょう(紙コップなどで押さえて入る方法もあります)。
尿路ストーマの方は、常に尿が出ていますので、装具をつけて湯船につかる方が良いでしょう。カテーテルが入っている場合は、感染予防のため必ず装具をつけて入浴しましょう。
入浴に便利なストーマケア用品
入浴には、入浴用の装具やアクセサリーが便利です。
単品系(ワンピース)装具を使用している方
■ 入浴用パウチ
コンパクトサイズで肌色のものが多く、装着していてもあまり目立ちません。容量はあまり多くありませんが、消化管ストーマの方は不意の排便に安心です。
二品系(ツーピース)装具を使用している方
■ 入浴用キャップ
二品系装具のドーム型キャップです。肌色でコンパクトサイズなので、装着していてもあまり目立ちません。尿路ストーマの方は、キャップの中にティッシュペーパーを入れて、尿を吸収させるようにします。
※入浴後、入浴用パウチや入浴用キャップは普段使用している装具につけかえます。
その他のアクセサリー
■ 入浴用シール
装具の上から貼れる防水性のあるシールです。肌色なので装具があまり目立ちません。
■ 防水テープ
防水性のある粘着テープです。面板周囲に貼ることで、面板が濡れたり溶けたりするのを防ぎます。
※入浴後も入浴用シートや防水テープを貼りっぱなしにしておくと皮膚が赤くなってくる場合もあるため、入浴後は必ず剥がしましょう。
Q 装具をつけたまま入浴できるの?
A
普段と同様、装具をつけたままで入浴できます。面板の濡れや溶けが心配な場合は、面板の周囲に防水テープを貼ると良いでしょう。入浴が終わったら防水テープは剥がすようにしましょう。
また、二品系(ツーピース)装具を使用している方は、ストーマ袋を外して面板だけで湯船につかると面板の溶けが早くなりますので、面板と袋を装着したまま入浴することをおすすめします。
入浴前には、袋に溜まった排泄物を捨てておきましょう。
Q 人目を気にせず入浴する方法は?
A
入浴用のコンパクトな装具を使用したり、使用中の装具を小さく折ってクリップや肌色テープなどで固定したりして、タオルで前を隠すようにして入ると、目立ちにくくなるでしょう。
また、洗い場でストーマが壁側になるように座る、人の少ない時間帯に入浴するといった工夫もできます。
貸切風呂や部屋に家族風呂が設置されている旅館を利用するのも良いでしょう。
入浴後のストーマ袋について
袋に不織布がついている場合は、入浴後タオルなどで水分を拭きとりましょう。濡れたままにしておくと衣服の濡れや皮膚のかぶれの原因となります。